田中紘一からのご挨拶
感性を磨き、知の風船を膨らます
医療はこれまで医療現場から課題をみつけ、それを解決することで進歩してきました。すなわち医療を受ける側と提供する側がこうあって欲しいという願いに向き合うことに原点があります。このために生み出される手技、方法、機器およびサービスは医療現場でたゆまざる改善(インプルーブメント)と革新(イノベーション)の繰り返しで発展します。
このことで医療の質が向上して患者・医療関係者・社会にとって三方よしで、医療は持続成長していきます。
例えば医療機器の歩みを見てみると、これまで新規医療機器として考案して製造され医療現場で使われたものが、役に立たなかったり、医療の進歩に追いつかず直ぐに使われなくなって姿を消した機器は数多くあります。こうなってしまう大きな理由は、医療現場からの課題とニーズを正確に捉えずにこれを活用する現場の人々と共に歩む姿勢が欠けていることにあります。
これからもヘルスケアに携わる人は改善と革新の心構えを持たねばなりません。このためには感性を磨き、生活の中であらゆる知(感情・経験・科学・創造・技術等の知)を自分に取り入れて育み、知の風船を膨らませなければなりません。小出しに出すと風船はすぐに萎みます。小出しに出さずに風船を膨らます姿勢がヘルスケアの発展に大切と信じています。